「根性あったと思うよ。『あったと思うよ』って、終わった話になってる(笑)」

(ロッキンオン ジャパンファイル掲載 1987年7月のインタビューより)

ヒムロックのファンになりたての頃
初めて『人間・氷室京介』に触れる事のできたインタビュー記事でした。
これを読むまでは、ライブ映像から想像する氷室京介像は
ひたすらクールでカッコよくて大人で…なんて思っていたのですが
氷室さんて、すごく人間味に溢れた人なんだ、と思いました。
何でも楽勝で成し遂げる天才肌、と思っていたけど
いろんなこだわりがあったり、いっぱい悩んでいたり。

このインタビューの内容は、私にとってとても濃厚で
ヒムロック(氷室さんの事をこう呼ぶって事も、
一緒に収められていた布袋さんのインタビューから初めて知りました)
の言葉は、いちいち衝撃的でした。
何度も読み返し、いちいち惚れ直しました。

今読んでも、やっぱりこの時感じたヒムロックの魅力というのは
変わらないなーと思います。
ほんとに、美意識とか信念とか哲学とかが、しっかりとあって
自分へのハードルを高く保っている。
口先だけでなく、ほんとに貫こうとして生きてきたんだなぁっていうのが
この時から15年以上経って、証明されている感じ。

上に挙げた言葉は、特に印象深かったのですが
BOOWYのために頑張ったという意識があるんじゃないですか?という問いに答えて
「頑張ったと思うよ、俺。根性あったと思う」
って答えたヒムロックが、とっても『男の子』だと思いました。
ほんとに頑張ったんだろうなー。エライ。そしてカワイイ。
でもって「終わった話になってる(笑)」っていうのが
既に解散が決まっていた当時の心境を感じさせて、切ない。
母性本能やられた、記念すべき一発目って感じでしょうか(笑)

他にも、やられた言葉が満載なのですが

「人が悪かったんだって思うのってカッコ悪くてやなのね。
そこは最後の意地だよね」
「起きることは全部自分のせいだよね。
それを変えられる可能性を持ってたのも自分なのに
変えられなかったのは自分なんだからさ」

むぅ〜!やられたー!!
そして、ずっとやられっぱなしー!!
世の中、うまく行かなかった事は他人のせいにする人が
圧倒的に多い気がする。(自分も…?)
歳をとればとる程、それを感じる。
だから、それをしないと自分に課すヒムロックはほんとにカッコイイ。
カッコよさっていうのは外見じゃなくて
こういう美意識を、どこまで貫けるかって事なんだなぁ、って思いました。
だって、大変な事だと思うもん、これを貫くって。

奥様をすごく誉めているのも、意外でもありカッコ良いと思わせました。
プライバシーに踏み込まれるくらいなら
売れたくない、って言っていたり。
ここで早くも『いつ居なくなるか解らない』
という危機感を植え付けられもしました(汗)
今はむしろ、その点については安心させてくれてますよね。

そんな人間的魅力に溢れるヒムロックに対して
インタビュアーの佐伯さんが
「人間・氷室京介を出したところで
もっと人気に拍車がかかるかもしれないですね。」と言うと
「あー、俺、それはないと思う」と答えるヒムロック。

「ライブでニコニコしているのがウケたから売れたと思いませんでした?」と言うと
「ニコニコしてたから売れたとは思わない。」とヒムロック。

ヒムロックのファンになるのは、
もちろん曲、歌、ライブパフォーマンスありきで
それだけで充分ではあります。
だけど、やっぱり人間・氷室京介の魅力は
好きって気持ちに拍車をかけるし
ヒムロックの笑顔にはヤラれる(笑)
まだ売れ始めて間もなくて
20代という年齢では
アイドル視みたいな事は拒絶したかったのでしょうね。
実際、ミーハーなファンだけじゃないという自信もあっただろうし。

最近のライブでのヒムロックの『微笑みの貴公子』ぶりには驚きと喜びなんですが
ソロ初期からわりと最近まで、敢えて笑顔を抑えているようにも見えました。
最近のラジオで「昔はライブ中怒ってばかりだった。楽しければ笑うよ」
というような事をおっしゃっていましたが
怒っているヒムロックも強烈に魅力的だったから、
笑顔を見せなくたってヒムロックにはファンはいっぱいつく。
だけど、やっぱり笑顔には骨抜きにされちゃいますね〜(笑)
秘密兵器というか、隠し玉というか、無くても十分やられているのに
笑顔を見せられると、幸せ度さらに100倍!って感じで。
それを、最近のライブでは、これでもか!とやられるので
若い頃よりも今のヒムロックの方が可愛く見えたりして。
今頃になって、新たな魅力にやられているワケです。
決して作為的ではなく、ほんとに楽しいから、の笑顔だから
見ている方をこれだけ幸せにする力を持っているんですよね。

ヒムロックも40歳を過ぎた今となっては、
アイドル視したいなら、どーぞ!って感じなのかなと思う今日この頃。
自分のやっている事、やってきた事に絶大な自信と余裕があるからこそ
自ら「微笑みの貴公子です」とか「京介ってよんでネ」
なんて言ってみたりもしてくれるんですよね(笑)
この歳でアイドル視されるって、それもプライドに思っても良いのでは?
なんて思うんですけど(笑)

私も、おもいっきりミーハーに「カワイイ!!」と言っているし
それは、まぎれもなくアイドル視なんだけど
もちろん、それはヒムロックの持つ魅力のほんの一部分である事は認識してる。
他人がどう言おうが、ミーハー魂も長年貫き通せば、
私もファンとしてのプライドを持ってます(笑)

人間的にダメな人だったとしても
多分ファンにはなったと思うんです。
だけど、こんなに強い想いが長く続いたかどうかは解りませんね。
こんな風に、昔言ったかっこいい事を
長年かかって口先だけじゃなかったって証明してくれている。
そんな人間・氷室京介を愛さずにはいられません。
今だって、ヒムロックの「根性あったと思うよ」は
決して終わった話になっていませんものね。

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